「美術館」/菊尾
 
どっかの誰かが言った言葉だったのに
あなたが言ったらそれは銃声に変わって
貫通してどこかへ行った
残った痛みで頭もどこかへ行った
そんなものでも逃げていかないように
抑えて閉じ込めて胸から手が離れてくれない
誰か削り取ってよ手の内側を

余白が埋まらないから余白のみにしてみたら
何も無いっていう一つの形になったよ
額縁に収めて飾って名前は付けない
監視員は無表情
時計に目をやることぐらいが唯一の動作
鏡にはいつも無い姿
見当たらないんだ
どこに僕は映っているの
監視員の眼鏡にも映ってないよ

売店ではあんぱんの包み紙が散乱している
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