創書日和「月」 月夜/山中 烏流
 
 
 
 
 
 
夜/(隠れながら、
 
背丈に近い芦と
足元に並ぶ、飛沫は
戸惑いを隠すように
そっと
さざなみを散らす
 
 
夜/(恥じながら、
 
紡ぎだす模倣
紅を引く指先は
とめどなく、卑しい
 
囁いた呼び声に
返る声も、
また
 
 
夜/(曖昧ながら、
 
わざと
照らされるのか、
 
少女の艶めきと
椿の慎ましさが
同居している
と、
 
 
夜/(広げながら、
 
それは
吸い込む錯覚で
視線を得たあとに、
在る
 
閉じるため
次を、拾い集めては
また
隠れるようにして
その雨を
塞いでいく
 
 
夜/(落ちながら、
 
淡くとも
その、輪郭は
 
在るのだろうに。
 
 
 
 
 
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