「コラージュ」/菊尾
 
挨拶は「今晩は。」
説明のつかない虚ろな景色を背にして二人は遊ぶ
逆回転のカタツムリの殻ばかり集めるコレクター
「薄紫の笑顔が特徴的です」
君が見る夢はいつも捩れて歪んでる

しゃがむと大口の影に落ちてしまいそう
伸ばした小指の爪は紙みたいに薄くて鋭い
浮かぶ三日月を剥がすためには
あと何センチ必要なのだろう
きっとまだまだ足りないな

数年前の一言が耳の内側でザワザワするんだと相談してみると
君は僕の頭を振ったり叩いたり
出てきたものは傷ついた小さくて冷たい銀盤
取り替えて今は生まれ立てのその言葉を頭の中で再生中
心地よいから繰り返して
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