みずやり/ユメアト
愛しすぎるきみの、
傷痕に触れたい
温度のない、からからに乾いたかさぶたに
ぼくが涙を落としたところで、
なにひとつ変わることもないけれど。
ただ。
花に水をやり、
朝にカーテンを開くように、
きみに触れたい
たからものでも、すみっこでほこりを被った思い出でもなく、
傷痕に。
乾いた大地のひび割れに
たっぷり水を流したら
もっともっと乾いていくのに
なのに。
愛しいから触れて、
舐めて、
ただどうにもならないエゴイズムを押しつけて
きみのかさぶたを広げていく
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