Ferris wheel/山中 烏流
たどり着いたとき
足元は
遠く、離れて
それはたとえば
風船に追い抜かれたり
迷子の小さな声が
群集で掻き消されたりする
午後のはなし
解くようにして
唇を震わすことを
君は常に
自分としているのか
君の声は、どうしても
形を持って
聞こえないのだけれど
爪痕を残すように
私は、手を
差し出す
てっぺんの窓辺で
誰かがそっと
頬杖をつく
そのとき
虹彩を模した色に
視界を
染められたなら、と
囁く
遠く萌える、鮮やかな緑
その内外に
白をちりばめる夢
紡
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