Ferris wheel/山中 烏流
 
 
 
 
 
 
 
たどり着いたとき
足元は
遠く、離れて
 
 それはたとえば
 風船に追い抜かれたり
 迷子の小さな声が
 群集で掻き消されたりする
 午後のはなし
 
解くようにして
唇を震わすことを
君は常に
自分としているのか
君の声は、どうしても
形を持って
聞こえないのだけれど
 
爪痕を残すように
私は、手を
差し出す
 
 
てっぺんの窓辺で
誰かがそっと
頬杖をつく
そのとき
虹彩を模した色に
視界を
染められたなら、と
囁く
 
遠く萌える、鮮やかな緑
その内外に
白をちりばめる夢
 

[次のページ]
戻る   Point(3)