狂い咲き/
由志キョウスケ
こんなに月の
白々しく明るい夜には
体中を打ちつけて
踊り狂おう
カーテンに閉ざされた
人工の灯の
なんと弱々しい夜よ
建物の形 電柱の影
路上にうずくまる車の
おぼろなシルエット
くっきりと浮き上がる軽快な
自販機の蛍光灯は
そこだけ異次元への入口
ああ、目の前の
この手はいったい
誰の手か
ああ、いつかの
体中を震わせた
あの痛みはどこへ
こんなに月の
白々しく明るい夜には
体中を打ちつけて
記憶を探って
踊り狂おう
狂い咲こう
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