オリオンの唄 〜 亡き友への requiem 〜 /服部 剛
 
だ・・・ 

頼りなくて兄貴になれなかった僕は 
もう会うことのない君が 
夜風になって枝をしきりに揺らすのを 
滲んだ瞳で茫洋と眺めながら 
無言の電波を 
星の瞬く冬空に・・・ 


  応答願ウ・・・応答願ウ・・・ 

  地上ニ残ル僕達ハ 
  覚束ナイ人生ノ運転手ノママ 
  笑イト涙ノ道程ヲ 
  走リ続ケテユクノデス 

  ブツカリナガラ 
  肩組ミナガラ 
  一ツノ唄ガ 
  宇宙ノ君ニ届クマデ 
  唄イ続ケテユクノデス 

  応答願ウ・・・応答願ウ・・・ 


明日も僕は地上から 
無言の電波を君に飛ばし 
教習車の運転席に座るだろう  

少し震える手で
鍵を入れる 
ギアを引く 
ハンドルを握る 

夜の向こうへまっすぐ伸びる 
未知なる日々を破ろうと 
アクセルを踏みこむ 







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