留守番時間      /服部 剛
 

素晴らしいのか 
頬杖をついて 
いつまでも 
本を閉じたまま 
「黄金の物差し」 
について思案していた

数日後 
友人Kが 
自らこの世を 
去ることも知らず 

この世から姿を消した友よ 

生きることは 
笑えるのか 
泣けるのか 
今、きみのいる場所から 
「人生のほんとう」は 
見えるかい? 

(本屋の夫婦は今日も 
(お揃いの黒いジーンズ姿で  
(暖かく客をもてなすだろう 

いつだって 
ストーブの窓にゆれる火に 
冷えた両手を暖めるぼくは 
君が姿を消した世界で
未知なる日々の領域へ
アクセルを踏みこむ 







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