20080207/藤野鞠子
 
通り過ぎるたび
1枚ずつ服が雑巾に変わってった
今日は大好きなスウェードのスカート
日曜日にフリマで買ったやつ
だったのに
知らない服ばかり増えていく

話したくなくて泣くなくて
バカみたいだ
それでも話さなくちゃ
なくちゃ、なんて

そしてまた喉を閉じた
喉が閉じた

見て欲しいのは
ひとりのときのわたし
それ、どういうこと

きっかけさえあればって
いつも夢見てた

傷なんていくつでも
つけばいいと思ってた
取り返しがつかなくなるのが
いまは

こわい

かなしみが好きなんて
あるわけない
あるわけない
痛いのは嫌い
当たり前でしょう

スウェードのスカート
雑巾に変えないから
いま 見に来て
会いに来て

会えよ




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