プラネタリウムの夜/ましろ
星が見たいの どうしても。
地方から上京したての彼は
翌日 東京にあるプラネタリウムを探してきた
講義を終え掲示板の前で落ち合う
いつものように私は彼の後ろにまわると
彼の背負っているリュックサックから垂れている
長い紐を握りしめた
総武線に乗ってしばらくすると
彼が一人で暮らす七和荘のある駅は
過ぎていった
乗り継ぐたび駅は小さくなる
彼曰く プラネタリウムがあるという
田舎臭い駅を出ると
ぶるっと体が震えた
雪がちらついていた
傘はない
けれどコートは着ている
子供の頃に見た
あの 丸くて暗い不思議な空間で
大きな星がみられるんだ
彼のリュ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)