深夜の靴音 /服部 剛
 
脱いだ靴を手放し 
床に落とす音が 
鼓膜に響いて 
目の覚めた深夜  

つけっぱなしで 
眠ったはずの
蛍光灯はいつのまに消えかかり 
薄暗い部屋はいつまでも 
点滅していた 

浅い眠りのあわいのなかで 
十日前に世を去った 
亡き友のまなざしが
澄んだ瞳でこちらをみつめ 
黙ってなにかをぼくにいう 

身を起こしたぼくは 
目を瞑り 
肘をついた机の上で 
そっと両手を 
組み合わす 




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