病/海月
 
紡いだ言葉の最後は誰も知らない
読み終わった書籍は本棚に収まり
二度と触れることも無く色褪せる

風船に願掛けした思い出の四季
春色の風景だけが夏空に浮かび
心地よい秋風に指先は冬の寒さ

明日の今日には今日は昨日となり
その足を止めたとしても旅人なり
心だけは君の傍らで朽ち果てたい
身は自然に地に帰る時を待つだけ

声を消して一つになった日々
擦れ違う想いを積み重ね続け
快楽は苦痛へと姿を変えても
僕は君を愛し続けるでしょう

君の輪廻と僕の輪廻が交じり合う
現実だけがせめてもの至福となり
君と進むべき道を完全に外れた僕
二度と一線を越える季節は来ない

懐中時計の蓋は閉じたまま
あの日の気持ちもその中で
無に変えるのを待ち続けて
僕の期待は裏切りに染まり
君は心の中で飛躍(かんせん)し続ける
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