Gravitation/パンの愛人
 
もう一度、
てのひらに
つつみこむ仕草で、ストレッタ。

空間を割いて、
胡桃のような空間を割いて、
胸の奥へと、ストレッタ。

時の鮮明な切断面は、
もはや誰のものでもない。
ひと息でほどける、地上の衣服。
ぼくはかなしい引力を知る。

そして、
それらかなしみの上に広がる、
ふたつとしてない
今日の空。

そして、
そのあとで、
ぼくがすかさず追いかけた、
円転している頭上の瞼と。
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