福豆/かのこ
 
い。
大きくもなければ小さくもない住宅地の中のスーパーは、嫌というほど家庭の匂いがする。
お買い得品を買い求めにくる主婦たちには勿論、まだ若い夫婦が買い物袋をひとつずつ提げている。重たくて大きい方を夫が持ち、卵の入っている方を嫁が持っている。
お菓子を持って母親のところへいく小学生。それから弁当のおかずになるような冷凍食品や惣菜の売り場匂い。
日曜の昼間なんかは、いつもなら働いていたはずだから、この時間はこんなに客が多いものなんだろうか、それとも節分の為だろうか。
恵方巻きの案内をする声がリピートされてる。あたしも、主婦たちに紛れて、3本、お父さんとお母さんと自分の分と、それから福豆を買
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