球体がある/パンの愛人
 
で、詩人の内部に立ち入るための重要な鍵がそこにはいくつも見出される。その稠密な文体による啓示的な表現からは、己れの絶対的内的観念をもって世界と対決しようとする孤独な詩人の、決意と苦悩の跡とが歴然とうかがわれよう」と述べている。
 すなわち、ミショーにとって、詩人とは「人間の堕落の後に来た人間」であり、「自己の人生が他の人生と全く相反する」人物であり、「絶えず死に瀕している」「一つの球体にすぎない」わけである。

{引用= しかしながら、彼は絶えず死に瀕している。彼の球体から一本の筋肉が出る。彼は何と幸福なのだろう。彼も他の者たちのように歩くことが可能になろうとしている。だが、筋肉は、彼にだけ
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