ポケットにひと粒の種を/服部 剛
 
(十代の頃、
 探していた答えは見つかったかい?)

(「見つかった」と「見つからない」の
  間に伸びる道を歩いているような日々さ)

(あの頃、
 まっすぐに伸ばした腕で
 掴もうとしたものは、何だい?)

(腕の骨は、歪に曲がってしまった ・・・
 かじかみ開いた手のひらに置いた
 「空虚な果実」の皮を果てなく剥いては
 いまだに「真実の種」を探している)

人と人が愛し合うというシンプルなことは
なんだかとっても複雑で
職場の休憩室の畳の上
胸に手を置き横たわれば
ホラ さまざまな人のさまざまな悪口が
低空飛行で群れる戦闘機の鈍
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