創書日和 靴 靴裏/山中 烏流
 



踏み付ける、倣え

(エナメルの爪先
 踵の揃う条理を知る

強かに打つ音が
虚空を響かせる、刹那に
私の呼吸とした海は
震えたのち、
さざ波を産んだ


そのパルス/振動が、
伝わるたび
 (色。

様々な彩へ触れたとき
その端々に、そっと
私の感触を知るものが
、生きて

広がっていく

踏み付けたあと
踏み締める、その(。


 待ち侘びた指先
世界は、作り変わる前に
  胎動をやめてしまう

(踵から感じる、視線

撫でた刹那に
 消えてしまったから、
私の手の平には
  私が、いない


 (最後の、保護


痛まないよう
優しくしてしまうことは
いつだって罪だ

踏み付ける、倣え

汚さないことを
正しいと言う、後先

私の踵は
いつだって、裸だった



 (、靴裏

体温を感じる夕べ

視線が交わるとき、
そこに
私は、いないのだけど。







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