「通信」/菊尾
 
違和感ばかりの胸を掻く
赤く痕は広がっていく
通信は途絶えそう
畳と天井の距離
「こんな事しか出来ないの」
黙っていた君が洩らした最後の言葉が蘇る

その感性は初め、一瞬だけ跳ねてみせたけど
あとは僕の中でしゃがみこんでいる
「出ていきたくないの?」
問いかける僕に
「外は向いていないの」って
意思のある眼がそう言った

遠く及ばない言語感覚
ちぐはぐに思えたのに
どうしてそんな事ばかり言えるの
保管庫、新しく作らなくちゃ


消化できない想いは
水風船の中に閉じ込めて
白い壁で叩き割る
壁が何色かに染まったらこの
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