「トワル」/菊尾
 
寝過ごしても何も過ぎていない
共感ってどこまでが境界線?
居るだけでなんて、遠い昔話
存在感が欲しいだけ

繊細さが時に邪魔
寄せ集めで出来ている
「気にしなくていい」と
あなたが言う


原風景の片隅で
黒い草が揺れる
肩まで伸びた髪を切って
身体から離れさせていく


答えは出せないまま
手間のかかる人だと笑う顔
心配するのは私自身のこと
疑ったから歩いてこれた
考えは収束されない


哀しい歌が好き
歪な形の月を描いた
絶対は無機質だけのもの
私たちには無いからこそ
価値がある


金属の箱に閉じ込められたような夜
失った感覚を取り戻せるのは
きっとその手だけ
靴の先が細い
誰かの心に少し似ている

戻る   Point(1)