「トワル」/菊尾
寝過ごしても何も過ぎていない
共感ってどこまでが境界線?
居るだけでなんて、遠い昔話
存在感が欲しいだけ
繊細さが時に邪魔
寄せ集めで出来ている
「気にしなくていい」と
あなたが言う
原風景の片隅で
黒い草が揺れる
肩まで伸びた髪を切って
身体から離れさせていく
答えは出せないまま
手間のかかる人だと笑う顔
心配するのは私自身のこと
疑ったから歩いてこれた
考えは収束されない
哀しい歌が好き
歪な形の月を描いた
絶対は無機質だけのもの
私たちには無いからこそ
価値がある
金属の箱に閉じ込められたような夜
失った感覚を取り戻せるのは
きっとその手だけ
靴の先が細い
誰かの心に少し似ている
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