純粋な人たち/sk
写真の中に住んでいる人がいて
彼女は風も匂いも気にしてなんかいない
写真の中に住んでいる人がいて
彼女は形と色に執着する
動きのないまわりの空気は重たく
心の中を伝えるのは表情だけ
言葉も無く喋り続けているのは
夢の世界に行ってしまったのかも
目に見える景色をここに囲って
生きて行く人達は僕を嫌ってる
傷つけるのはナイフでも銃でも無く
ただ冷たく透き通る視線だけ
写真の中に住んでいる人がいて
彼は気温も音も気にしていない
写真の中に住んでいる人がいて
彼はフレームの中に全てを得る
切り取られた世界は奇麗だけど
悲しくなるのはどうしてなのか
疑問を投げかけているのはきっと
彼のほうなのかもしれないけれど
目に見える景色をここに囲って
その中で息をひそめて瞬きもせず
それが美しいことじゃないなんて
誰が君に言えたのだろう
欲張って貼った六枚の写真
その背後にある鏡に
溶けこんでいった
今日は日曜日のはず
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