台風/高嶺 遥子
青く輝く南の海
ぼくはそこで産声をあげた
一つ目小僧のぼくだけど
太平洋に抱かれて
ぐんぐん ぐんぐん育ってく
大きくなったぼくは
アジアへ旅に出るのさ
ポッケにいっぱい
キャンディー詰め込んで
中国 朝鮮 日本
でも
ぼくの目に映るのは
ぼくの真下の海と陸
ぼくの真上の大空だけ
しかもぼくはおっちょこちょい
ポッケのキャンディー
ぽろぽろ落としちゃう
ぼくが来るとみんな
恐ろしいと言うけれど
みんなだって
クモの巣やアリの巣壊したり
虫を殺したりするよね
それに
ぼくが落としたキャンディーを
一番食べるのみんなだよね
ぼくだって
生まれて 大きくなって 死んでいく
みんなとおんなじ
同じ一つの命なんだ
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