雪/海月
 
二人の距離を繋ぐのは
考えてみても何も思いつかないけど
僕らは近くにいることは確か
手を伸ばせば触れるほどに

一つのマフラーを分かち合った日々
今更に思い返すのはなぜだろう
君がいなくなった日には涙が零れなかったのに

会いたいと願ってみても
声に出してみても
今のところ何も変わらずに季節だけが過ぎていく

何度目の冬景色
今年は雪が降らない
君の好きだった真っ白な景色

早歩きの人々はどこに向かう
波に飲まれないように
僕はその小さな明日に向かう

会いたいと思い続けても
美化されていく思い出に
少しだけ絶望したりして

今年の雪は少しでも長く積もると嬉しい
君に会えている気がするから
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