まぶた/
湖月
いちばん最初の傷は眼だった
永遠に塞ぐことの許されないこの傷は
時々誰かを傷つける
瞬きを繰り返して
いつまでも乾くことのない
透明な血を絞り出し
傷は余計に広がった
目蓋のない動物は
息絶えたまま瞳を開いた動物は
その傷を塞ぐことなく死んでいくのか
傷も穴も癒えることのない体で
あとどのくらいここに居られるのか
目蓋のない生き物の恐ろしいことといったら
私の傷は眠りにのみ癒される
戻る
編
削
Point
(2)