光の骸(再々改訂版)/ダーザイン
 
間遠に灯るガス燈の火を
ひとつひとつ落としながら
どこまでも
迷い道をたどってきました

鳩色の街に
静かに降り積もる粉雪
きしきしと
水晶が発振する音が聞こえます

いつの日にか
夜の形をした蝶が
あやしい光の翼を広げ
白みはじめた大気の中に溶け込んで
草原の黄金の舌が東の空に這い登り
鳥たちと奏でる曙のコラール

石段をひとつひとつ踏みしめて
坂道を登りつめると
羽の無い
悲しい目をした天使がひとり
薔薇色に身を染めて微笑んでいる

あなたとは
どこかで会ったことがありますね

 可愛い子供が亡くなったとき
 なにも言葉にならなかった
 
[次のページ]
戻る   Point(17)