小さな魚/猫のひたい撫でるたま子
 
突発的に酔っ払いに暴かれた本当の顔は、暗闇でよく見えなかっただろう

川の流れを硬くなに守る、天気には左右されない

逃した魚は無色透明

水槽の光でコロコロ変わる

一回逃すとなかなか見つからない種類の迷子の魚


惜しいことしたな、すぐに猫かなにかに食べられちゃうんだろう

刺身にしたら美味しかったんじゃないかな

二度と見つからない代わりに、忘れられない魚

まだその辺で迷ってるだろう、血潮を呼ぶ魚

チャンスは一度きり、が懸命なやり口

魚は食べられるために生息しているわけじゃない、どの川も早く泳いでいる


理性的な愛なんて、爪を持たない猫ちゃんだ

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