世界/紫音
 
流れゆく車窓の向こう
闇に点在する灯火

喪失が生の証だとすれば
死がもたらすのは何

死が清掃されゆくこの世界で
隠されるが故に
それは横溢してゆく

死の希薄化は生の希薄化となり
時間に対し開かれることなく
ただ瞬間を刻む存在となる

願わくば我に死を
請い惑う奥深く
問われるのは生の絶望

ただただ流れゆく景色のように
点在する可能性は
悉くすり抜けてゆく

ここは生と死のラグランジュポイント
破れることなき均衡の世界

日々
気がつけば明けてゆき
気がつかぬうちに暮れてゆく

手にするものが
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