痛覚レセプタ/あおば
お魚には痛覚がないのです。
ですから活け作りだからって、そんなにかわいそがらずに、たんとお召し上がりくださいね。
美人の女将は三つ指付いて微笑んで、そそくさと隣の座敷の流れに向かう。
風も吹かない此の部屋では早く食べないと傷んでしまいます。
ギンヤンマの風太が促すのでやおら箸を摘んで背中から平らげる。
少しばかり残酷だと思うのだけど、美人の女将が笑顔で命令するから逆らうなんて、
とても出来ないことなのだ。
寒いときは寒いときの、暑いときは暑いときの料理があって、エアコンが普及した現代でも季節には逆らえないし、だけど、
美人の女将は365日笑顔のお面を外さない。
このあたり
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