ぢろばたにて /服部 剛
 
いくつもの古時計が 
まばらな振り子を鳴らす 
時の無い珈琲店 

木目のテーブルに
頬杖をついて 
ものを思う 

いつかわたしも 
衣服の抜け殻を地に遺し 
空へ消える煙となろう 

俯くランプの傘の下 
開いたノート
眩しい余白 

カップの耳に指をかけると 
いつのまに 
中味は空になっていた 







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