紅ノ羽 /
服部 剛
わたしの心の暗闇に
張り巡らされた蜘蛛の巣は
寂しい一つの宇宙を広げ
いつも小鳥を待っている
幾羽ものはばたきは
見向きもせずに
薫りだけを残して
網の目を通り過ぎた
時折紅ノ羽が掛かり
蜘蛛の巣に包み込まれた
恍惚の小鳥は瞳を閉じ
炎に捩れ身を熔かす
蜘蛛の巣を広げると
燃え尽きた宇宙に誰の姿も無く
夜風にたゆたう網目の下に
炎の幻が堕ちていた
戻る
編
削
Point
(2)