順当な結び目/猫のひたい撫でるたま子
 
言葉が言葉じゃなくなるくらい

言葉が言葉としてみえなくなるくらい

言葉が意味を失うくらい


ただ甘く、イヤラシイ本当の言葉を繰り返して

つたえてつたえて

知らん振りで裾にねじ込む

くりかえし同じことだけを表わし続ける

乱暴なようで、丁寧に

毎日一枚つづりのものを

ぺらぺらでどうしようもなく儚い紙切れを

ちっぽけな刹那さを

尖った紙の角で血を流す、あなたに

書き残す

くちづけなんかよりも、忘れさせないくらい

書き残したい

それがしたい

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