「dialogue」/菊尾
角度の違うひし形
幾つも重なって
生まれた幾何学模様
誰かが描いた
そんな僕達の角度
歩み寄る君の半身
造りこまれた唇は余分には話さない
肌の隙間を埋めていく
朝が戻ってくるけど
それまでは他人じゃない
慣れてしまうのが怖いから
二人は話し足りないぐらいで引き上げる
「別れ際の余韻は残しておきたい」と
いつかの君は言っていた
縁石の上を這う小さな葬列
通り過ぎる乗り物には人が乗っている
電線に停まる影色の鳥
意思を無視してどこまで行けるだろう
躊躇無く手離していく君は左右されることなく
けれど右も左も
もう分からないのだろう
彼女は「ただ、」
その後に続く言葉を欲しがった
僕は「だけ。」と
言った最後に付け加えた
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