手垢/
本城希望
僕らはお互い誰かの手垢のついた体で愛し合う
それを承知で愛し合う
混雑時の宝石屋のガラスケース
満員電車の窓
誰の手垢がついていようと責めたりしない
これがルール
今ふたりが愛し合うことに対して
何の問題もない
数時間前何処で誰と何をしていようが
今この時間を大切に
手垢のついた体の上に
手垢をつけ合う
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