種/mayaco
 
どこに植えたのか
その場所だけは
今もはっきり覚えている

この広大な大地も
この荒れ果てた大地も

いつか菜の花畑になるのだろうと
いつかれんげ畑になるのだろうと

その光景ははっきりと目に浮かぶ
その香りもすでに嗅いだような気になる

小さな種をいくつも握って
植えることだけを考えて

そして
今なお地中深くで眠る種

私が忘れていたものは何なのか

新しい土地を目の前に
変わらぬ景色がよそよそしく続く


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