哀愁の雨傘/山崎 風雅
 
 雨が降っている
 今は夜中
 過ぎ去る日々は音もなく


 ないものねだりの心に雨音
 一人の夜
 決して寂しくもないけれど
 それもどうしたものなのか
 ただ、日常に麻痺しているだけ

 人は生まれてきて
 生きて
 死んでいく

 それだけのこと

 だが、愛しい我が人生よ
 ここまで来るのにこれだけ苦労するのならば
 この先もやはり闇は続くのか
 それでも、やっぱり生きることを諦めないだろう
 何度も渡った橋

 夜更けに一人、静かな通りに出てみる
 哀愁の傘をさして

 誰もいない
 そんなものさ
 少し寒さが身にしみる
 熱い心をちょっと思い出す


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