結婚の頌?/音阿弥花三郎
わたしは あなたのすべてをしっている
あなたは わたしだから
「貴方は私の王女
かわいい玉座の王女
だから私は貴方の前で
畏れながらも武勇伝を語るのです
貴方は私の小鳥
渡りを逸した途方に暮れる小鳥
だから私は掌に包み
湧き上がるいとおしさで
貴方を不幸から守るのです」
わたしは あなたのすべてをしっている
あなたは わたしだから
「貴方は私の王子
白馬の王子
だから私はひざまずき 畏れながら
貴方の接吻を受けるのです
貴方は私の乞食
土塊(つちくれ)と木の葉をまとった乞食
だから私はひざまずき 涙をためて
貴方の垢を落とすのです」
わたしは あなたのすべてをしっている
あなたは わたしだから
わたしたちは すべてにみたされながら
なにも もっていない
かなたへ しゅっぱつするために
いま ある わたしたち
わたしたちの にいどこは
あさの ひかりの なかで
こんなにも かがやいている
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