[ミルクを飲んでフラフラの僕は、空気のような空想を描く]/あおば
 
              080107




机龍之介は居るか、
槍のような声が、
ヘルメットを突き破る。

耳を塞いでアクセル全開、
オーパヒートのエンジンは、
金切り声で焼き付き寸前、
蹌踉と大菩薩峠を越えた。

下りに掛かると、
今度は一直線、
息を吹き返したかのように、
バイクは力を取り戻し、
音も軽く、
ぐんぐんスピードを増して、
もう、
此処まで来れば、
弓の矢だって追いつけない
パルス式の、
自作の電気式、
回転計の針も、
真ん中あたりで、
落ち着いている。

砕け散った岩石を横目に、
曲がりくねるカーブを、
下って
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