たとえ悲しみが体を波のように満たしたとしても/
風音
密やかに囁く
木々の擦れ合う音
朝はまだ
こんなにも早くて
この木々の下
わたしは
誰にも見られず
泣くことができる
誰も慰めず
心配もせず
手を差し伸べることもないから
安心して
嗚咽に身をまかせる
たとえ
身体中に
悲しみが打ち寄せたとしても
戻る
編
削
Point
(2)