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猫之面
段ボールの中で震える色に
夜を食ってみたらと言った
白でいようとしないでいい
黒になることを恐れないで
灰色であることを咀嚼しろ
翌日その猫は町を飛びだし
その後の事を俺は知らない
ただ真っ赤だった唇だけは
その感触だけは覚えている
冷たく震えていた柔らかな
あの祈るような小さな声も
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