「確かめるように」/菊尾
 
ぴったりと纏わり付いて拭えない匂いに
いつからか執着している
往なすのは衝動であり欲望には素直な態度
君が言うその
自然体とかいう三文芝居に惑わされてみる

齧った林檎は粉になって見たくもない
干乾びるのが速いのは外よりも中の話
味気ないなんてどの口が言った?
出たり入ったり
息切らせてこの身の上で踊っている

踵の皺を数える
背骨を指でなぞる
向き合い息を整える
俯いて腕がだらりと垂れ下がり髪で口元しか分からない
下唇を噛み千切る真似をする
笑いながら汚しあう
飽きずに何度だって

嫌う事が癖になったら終息しか後は無い
完結させる事に固執し続かせる事を知らない
保存も利かない言葉は塵芥
だからまた、背中から抱いた
確かめるように
いつ離れてもいいように

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