【エッセイ】裏庭について – それからすこし家の話/mizu K
ゆるやかに海に向かって沈んでいるので
あろう。海岸まではまだまだ距離があるけれども。
祖父の家の入口も、道ばたからすぐに3mほどの急な傾斜をのぼらねばならず、のぼ
れば車が2台とまれるほどのスペースくらいで、そこからはもう家屋であった。以前は
農機具や仕事用具などが置いてある棟続きの半開放の小屋というか下屋がまず手前にあ
って、その奥が母屋、手前の右側が台所と、逆L字型の格好であったと記憶しているが、
いつのまに改築したのか小屋の部分は玄関と座敷と縁側になっていた。
その家には、裏庭といえるかわからないが、裏っかわに小さな庭があった。「庭」と
いってもそう大したものではなく、と
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