聖性、冬、機械/ケンディ
ない異臭が漂ってくる。
そんな時、人間が降りだした。凍てつく夜だった。あまりにも大量に降ってきた。落ちてくる人間たちは、僧侶の黒装束あるいは白装束を着ていた。そして安らかで穏やかなレクイエム、イル・マグナニモ・ピエトロ(il magnanimo Pietro)を透き通った声で合唱しながら、頭から逆さまに落ちていった。
大量の流れ星のようだ。月明かりの安らぎと冬空の陰鬱さが、不思議なことに仲良く調和していた。高い雲の向こうから深い闇の方角に降り注いでいった。あちらではどうやら、また、大地が血まみれになるようだ。
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