聖性、冬、機械/ケンディ
 
まれるのを強烈に祈っているかのような、恐るべき目つきだった。同時に表れていた卑小さは、あまりにもマゾヒスティックであり、これも私を恐怖のどん底に突き落とした。それから耐え難い悪臭を放つ口、垢にまみれた体。伸び放題の爪と髪と髭。動物のように垂れ流される糞便。これこそが彼だった。私がこの友人を偲ぶ時思い起こされるのは、垢、フケ、排泄物、爪、歯垢…そういった彼にまつわる、醜悪な廃棄物ばかりなのだ。
私にとって彼はあらゆる愛だった。小難しく言えば、古代ギリシャで言われる三つの愛全てを兼ね備えていた。つまり性愛(エロス)、友愛(フィリア)、博愛(アガペー)。いや、それらの愛が一気にひとつの肉体に凝縮された
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