明日香の旅路 /服部 剛
のように、胸の奥に灯るのを感じた。緩やかに曲
りくねる山間の坂道を歩きながら空を見上げると、雲
間から大和ノ国の太陽が御顔を出し、田の水鏡に映る
陽は虹色に輝き、古の郷は新年の光に照らし出された。
私は異国の詩人・ゲーテの遺言を胸に呟いた。
( もっと光を・・・! )
すでに4日間歩き続け、疲れていた心身の内に、更
なる力が湧いて来た。
( この道の向こうに、職場の仲間とお年寄りや、
かけがえのない詩友達が待っている・・・ )
唯一つの炎を胸の奥に燃やしながら、私は山郷の道
を何処までも歩き続けた。
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