明日香の旅路 /服部 剛
 
 新年最初の「詩友への手紙」である。今年一年をどの
ような年にするかを思う時、この手紙を書くことに深い
意味を感じながら、今から私の胸に秘めた思いを綴ろう
と思う。私は本来、弱く醜い一人の人間である。だが、
自らの弱さを抱えながら、年末年始を京都・奈良・比叡
山への旅の時間で過ごし、数えきれない神仏の像が並ぶ
京都の三十三間堂・滋賀の義仲寺に眠る松尾芭蕉の墓前 
・青い瓦屋根の上に立つ十字架に呼ばれたカトリック大
津教会内の聖堂・年越しの瞬間を過ごした比叡山・延暦
寺・聖徳太子生誕の地である明日香村の橘寺等の聖地で、
自らの弱さの全てを曝け出すような思いで両手を合わせ
ると、
[次のページ]
戻る   Point(1)