無題(宴)/蝶子
 
誰が青空のみを美しいと決めた
今日の曇り空、この上ない快だ
白が白に重なり、灰色と化し
無彩色の天空は地上に落ち着きをもたらす
不動の空
秘密を握ったそよ風がそっと耳元でささやく

私はカメラを取り出し、空を像として収めようとする
でも一向にピントが合わない
生の視覚のみが許された禁断の酒
空はさりげなく一杯手渡す
私は遠慮なく飲み干そう
誰にも分けてはやらない、一滴も

でも風は知っていた
空が内輪な宴など開かないことを
ならば
私と酒をともにするのは誰だ

沈黙の開宴式は終わった
一本の光線、重層のキャンヴァスに引かれる
それに続く地響き
集まれ 集まれ
宴が始まった
太陽も月も不在の自由を手に入れたのだ
狂喜に身を任せて歌おう
呼び寄せよう
泥酔へと誘う 雨 雨 雨

集まれ 集まれ
宴が始まった
集まれ 集まれ
宴が始まった

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