水槽/山中 烏流
 
 
そのとき私は
えら呼吸を覚えて
水掻きを思い出して
水面の揺らめきに
涙するのだろう
、なあ
 
 
水面下、/足跡は水泡になる
いずれかの色を知り
私は爪先から
桃色を(失っていく/のだ。
一度眠ったあとは
遂に肌色(が消え(る。
その過程を辿る、
必要性は/無いというのに
だ。
 
 
/水平線が随分と遠くなった気がする。陸を歩く魚は、退化し始めた水掻きを引きずっていた。寸刻魚と目が合う、離す、合う。二度目の接触のあと、私は水中へと沈んだ。それとなく水掻きに触れる。まるで処女膜のようだ、と感じる。小さな亀裂のあと、水泡が頭上に消える、見る、消える。水
[次のページ]
戻る   Point(6)