「ここからは」/菊尾
無いものねだりです
けれどそれを誰に言う?
簡単に投げ出されたって
返す言葉が見つからない
拾いに行けない距離に置いてきた
いつでもその場限りの一時的な感情で
分かっているのはこんな気持ちも一時的
それが何よりも酷いのです
「構わない」って
突き放されて、包まれた
優しさは未熟な人間を溺れさせていくけれど
息継ぎぐらいはできるらしい
考えられる範囲内に
留まっていてほしい
それを我侭だって言われても
開き直る頭しか持ち合わせてない
逆さになっても醜いだなんて思わない
終わりが訪れることを知っている
どんな事にだってそれは
奪ったり与えたり
今もこの先も死角なんて無いんだね
平等なテーブルに着いている
ちっぽけな自分がいる
見えたり隠されたりの感情に
振り回されずに
ただ静かに視線を向けている
ここがどこか
その眼には見えている
要らない事なんて
何一つ無い
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