「remain」/菊尾
 
ただ一人
切り離されたように
見知らぬ夜に佇んでいる
塞がったはずの空洞が
胸の中で痛みを生んでいく
足元が掬われる
膝が折れていく

影にいくら問いかけても
返事はないまま針は進む
部屋では静けさが渦巻いていて
指一本動かせやしない


茨に囲まれたこの庭で
私はあなたが置いていった宝石を磨いている
何一つにもなる事ができずに
きっとこのまま私は終わっていく
願っても恨んでも
かする事すら許されないの?


髪は今でも長いまま
視界は遮られているけれど
あなたを見れない世界なら
前髪を切ったって同じこと


痩せた体が求めているのは
他の誰かじゃなくて
もし私が今すぐ消えてしまっても
あなたは何も知らないままで


私はここに居る
あなたと居たこの場所で
膝を抱えたまま動けずに

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