俯瞰/山中 烏流
 
 
 
 
 
 
 
水玉の反射光
少しだけ、離れた目線
 
水滴が頬を打つ
その、一瞬くらい前
私は私より
ずっと私だった
 
 
足元が脈を打つ
それは轟きであり
咆哮であることを
誰かが、囁いていた
 
そして
いずれのときも、
私は何処までも少女だった
 
その後ろ姿に
小さな手のひらと
足跡が、
重なる
 
 
俯瞰で見つめる瞳は
いつまでも逸らすことはない
その視線に、
私や私に等しいものは
貫かれているのだろうか
 
指先がなぞる
その軌跡は、何もかも
 
自由だ
 
 
一つ、
離れたときに

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