よいお年を。/山崎 風雅
仏教の教えに、十界論というのがあります。生命の境涯の世界を十に分けたものです。下から、地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、人界、天界、声聞界、縁覚界、菩薩界、仏界と上がっていきます。日本の仏教では、死んでから行く世界として説かれていることが多いですが、これは、今、現在の心の境涯を表すこともできます。
地獄界とは、文字の通り、何もかも自由のない境涯で、餓鬼界とは、欲しいものが手に入らずに苦しむ、畜生とは本能のままで愚か、修羅とは闘うことばかりに専念して、人界とは穏やかな境涯、天界は欲望が満たされて喜び、声聞、縁覚とは仏の教えを理解することができ、菩薩界とは、人を成仏するのを助ける行いをする境涯、仏
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